祖母に育てられた信夫はキリスト教が嫌いだったが、死んだと思っていた母の菊も妹の待子も父の貞行もキリスト教であった。
足が悪く、病で寝たきりになってしまうふじ子もキリスト教信者となり、信夫もキリスト教を自ら知ることになる。
これはネタバレではなく本の裏表紙にも書いてあるのだが、本文最後、結納当日に札幌までの列車で信夫が自らの生命をかけて他の乗客の命を救う。
「良い」との評判を聞いて読んでみました。
キリスト教信者ではない私には、全てを理解し共感することは出来ませんでしたが、愛と信仰を貫く信夫の生涯は良い話でした。
序盤からの話し口調などから、昔のよき日本をゆったりと楽しむことが出来ました。
いつ治るか分からない病で倒れたふじ子をいつまでも待つ信夫は、とても魅力的。
今の多くの若者には考えにくいことかもしれません。
キリスト教信者をヤソと呼んで避けるのがおかしくない時代。
吉原から逃げ帰ってきたり、あんなに嫌がっていたキリスト教を多くの人々に分かってもらおうとする信夫には本当に好感が持てます。
実話に基づいた話であることを考えると、胸を打たれます。
- 塩狩峠 (新潮文庫)
- 発売元: 新潮社
- 価格: ¥ 660
- 発売日: 1973/05
- 売上ランキング: 3114
- おすすめ度
★7/10