先日、音楽事務所の方とお話をする機会がありました。
そこで私たち「演奏する側」と「運営する側」の意見の食い違いがあり、思うことが沢山あってここに書いてみようかなと思ったわけですが、ここに書いたからどうなるわけでもないというのは充分分かっているつもりですので、読んだ方、どうか読み流してください(笑)
私たち「演奏する側」は、ぶっちゃけ「良い演奏をする」くらいしか出来ることがありません。チケットを売ったり、宣伝したり、それは「運営する側」の人がすることだし、(もちろんチケットノルマがある時などを含めて売ったり宣伝もしますが、それは個人規模のものですので。)どのホールで演奏するとか、どのスポンサーを付けるとか、この演奏会でどれくらいのお金が動くとか、そういうのも「運営する側」に任すしかありません。「運営する側」はもちろん仕事なので、お金が儲かるコンサートを第一に考えて、儲からないのはやりたくない。納得しますし、当然だと思います。
でも、「この楽器は儲からないから手を付けない」と、何もしないで決め付けていることに「演奏する側」としては黙っているわけにはいきません。どの楽器だってスターがいるし、ホールを満席にする演奏家がいます。大きなホールじゃなければ地元で活躍している人などだったら満席にだって出来ます。それこそ、莫大な宣伝費なんて要らないで。
根本にあるのは、「日本のチケット代が高い」ということ。
外国では映画を観るようにコンサートを聴きにいけます。高いチケットもあるけれど日本ほどではないし、敷居も高くないから、日本のように特別なもののようなとらえ方をされていない。オシャレしなくてもジーンズで聴きに行けます。これは日本はホール代も高いし、国からの助成もほとんど無いし、スポンサーも付きにくいことからきているので、ここから変えていかないと実現しないのですが。
日本で今よりも少しでもクラシックコンサートが身近な存在になるように、タレントのように露出している人を悪く言う人もいます。「あんまり上手くないのに外見で売っている」という意見も全否定はしませんが、その人たちのおかげでクラシックを聴くようになった人もいるのは無視できません。
プロのオーケストラに入ったって、ソロで活躍していたってほんの一部の人以外は厳しい日本。「日本では厳しい世界なんだから、真面目に音楽をやりたいなら海外に行くべきだ」というのも良く聞きますが、それが一番正しい道なのかは分かりません。海外で大活躍している人も沢山居るけれど、帰ってきてから日本のツテが無くて困っている人も多いです。
「演奏する側」も「運営する側」も、日本でクラシックを少しでも広げる、というのを目指しているのは同じ。状況を良くする事が出来るのは、どちらかと言ったら「運営する側」の方が近いところに居ると思います。それを「日本では売れる楽器しか売らない。やりたいなら海外へ」なんて言われると、「売らないから売れないのであって、海外に行って解決するものではない」と私たちは言い返すしかないのです。
あぁ、結局書いてしまった。そして
暮らしにくい日本にも被ってしまったわ。
堂々巡り。
そして今日も秋の夜の風が身に凍みます・・・。