映画化もされ、一躍有名になった博士の愛した数式の様な、暖かく美しい世界を書いている本も大好きだけれど、
妊娠カレンダーの様な、じわじわと怖くなるような独特の世界も好き。
この「完璧な病室」は、じわじわと怖さが身に沁みて来る後者でした。
読んでいると、あまりの静かさに無性に怖くなり、背筋に寒気が走り、哀しみに身体が張り裂けそうになるのに、この本を途中で止める理由には全くならないという、怖いくらい魅力のある短編集です。
海燕新人文学賞受賞の「揚羽蝶が壊れる時」も収録されています。
異常な中にいると、正常なはずの自分が異常なのかもしれないと思う。
いったい、どこからが正常で、どこからが異常なのか。
収録されている作品
完璧な病室
揚羽蝶が壊れる時
冷めない紅茶
ダイヴィング・プール
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本★8/10