2006年09月26日

「ナイフ」重松清

坪田譲治文学賞受賞。
「いじめ」がテーマの話が5話。

読み進めていると、私が子供の時とは違う種類の「いじめ」が怖い。
まるで自分がその場面にいるように錯覚してしまうと、全てが悲しくなってきます。
ゲーム感覚で、良い事と悪い事は分かっているけれど分かっている事が出来ない。
いじめる方には罪悪感が余り無く、いじめられる方は親には知られたくない。
色んな状況を考えても、どうすれば無くなるのかは分からない。
どうやって前を向くことができたのか、というのが唯一の救いなのかな。

子供の立場、親の立場、それぞれの言い分がある。
どちらも今の世の中を生きていく中で、迷いながらも頑張っている証拠なのだ。
偉くならなくてもいい。賢くなくてもいい。金持ちでなくてもいいし、特別な才能がなくてもいい。どこにでもいる、平凡な男でかまわない。(中略)生きることに絶望するような悲しみや苦しみには、決して出会わないように。
なかでも「エビスくん」は辛かった。
読んでいて涙が止まりませんでした。

収録されている作品
ワニとハブとひょうたん池で
ナイフ
キャッチボール日和
エビスくん
ビタースィート・ホーム

ナイフ
ナイフ
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 620
  • 発売日: 2000/06
  • 売上ランキング: 12285

本★9/10
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posted by このみ。 at 23:25 | 東京 ☔ | Comment(2) | TrackBack(1) | 本を読んで| edit
この記事へのコメント
(*゜ー゜)vオハヨ♪
このみ。さんのところでこの本の存在を知って早速借りて読みました。
この物語に近い子供を持っているので、興味深々で読み始めたよ。 
小6の息子のクラスでも、多少はあるみたいだし。息子はターゲットになっていないけど、彼らのやり口に憤ってました。

どの話も良かったね!
エビスくんは私もかなり感動したよ。
電車の中でタオルで涙を拭いちゃった。
上っ面だけの最近の子供達の付き合い方(あ、大人もかぁ)を考えさせられます。


Posted by ゆぅ at 2006年10月15日 07:38
>ゆぅさん
(*゜ー゜)vオハヨ♪
ここで知って読んでくれたっていうの、凄くうれしいです!
ゆぅさんのお子さんは、ちょうど本の内容が気になる年齢か。
最近はどのクラスも多少は有るのが当たり前なのかな。。
やだやだ。しょうがないことなのかなぁ。。
重松さんの本は解決策が書いてあるわけじゃないんだけど
何かを感じ取らされるから、ついつい読んじゃいます。
エビスくん、良かったよね。
上っ面だけの付き合い、子供は大人を見て育つから、教えちゃったのは今の世の中の大人なのかもね。
Posted by このみ。 at 2006年10月16日 08:30
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「ナイフ」重松清
Excerpt: ナイフ発売元: 新潮社価格: ¥ 620発売日: 2000/06売上ランキング: 6,065おすすめ度 posted with Socialtunes at 2006/01/23 久々に本読んで..
Weblog: 本を読む女。改訂版
Tracked: 2006-10-01 03:28

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