祖母に育てられた信夫はキリスト教が嫌いだったが、死んだと思っていた母の菊も妹の待子も父の貞行もキリスト教であった。
足が悪く、病で寝たきりになってしまうふじ子もキリスト教信者となり、信夫もキリスト教を自ら知ることになる。
これはネタバレではなく本の裏表紙にも書いてあるのだが、本文最後、結納当日に札幌までの列車で信夫が自らの生命をかけて他の乗客の命を救う。
「良い」との評判を聞いて読んでみました。
キリスト教信者ではない私には、全てを理解し共感することは出来ませんでしたが、愛と信仰を貫く信夫の生涯は良い話でした。
序盤からの話し口調などから、昔のよき日本をゆったりと楽しむことが出来ました。
いつ治るか分からない病で倒れたふじ子をいつまでも待つ信夫は、とても魅力的。
今の多くの若者には考えにくいことかもしれません。
キリスト教信者をヤソと呼んで避けるのがおかしくない時代。
吉原から逃げ帰ってきたり、あんなに嫌がっていたキリスト教を多くの人々に分かってもらおうとする信夫には本当に好感が持てます。
実話に基づいた話であることを考えると、胸を打たれます。
- 塩狩峠 (新潮文庫)
- 発売元: 新潮社
- 価格: ¥ 660
- 発売日: 1973/05
- 売上ランキング: 3114
- おすすめ度
★7/10
原作は確か読んでいませんが、映画を観に行きました。とても感動しました。何と言っても主人公、中野誠也と奥さん役の佐藤オリヱの演技がよかったです。と言ってもこのみさんにはわからないと思いますが(^_^;)
映画のパンフレットの解説を読むと本当に列車が止まって乗客が救われたみたいですね。
意外ですか?(笑)
どこかで良いという評判を読んで、「読みたい本リスト」に書き込んでいました。
映画化されていたのですね。知りませんでした。
原作だとキリスト教についての部分が多く、少し戸惑う場面がいくつかありました。
映画だとそこはどんな感じになっているのかしら。
実話なだけに、感動も大きいですね。
咄嗟にこんなことが出来るなんて、考えられないです。
このみさんの感想を読んで、待つことの健気さ、ひたむきさの魅力もあるなぁと気づきました。
自分だったらこれだけ待てるのかしら・・・。
咄嗟にこの行動は・・・出来ないだろうなぁ(-"-;A
こういう本は、自分の心の汚れ(?)を気付かされますね。
いけないいけない。
トラックバックありがとうございます(^^)
ふじこを待つ信夫も魅力的ですが、それに対するふじこの行動も魅力的ですよね。
この本のラスト、こういうことを「咄嗟に」やるっていうのはすごいこと、難しいことだなと感じました。
また遊びに来ますね!
こちらこそTB有難うございます。
ラストの事、本当にそうですね。
私は咄嗟に迷わず出来るのか、とても自信がありません・・・。