2006年08月09日

「流星ワゴン」重松清

「本の雑誌」年間ベスト1。
読み終わってからSFファンタジーだったのかと気が付くくらい、自然にこの本の世界に入っていきました。
とても面白かったです。

仕事もどん底、家庭もどん底。
死んじゃってもいいかな、もう・・・。
そんな時、一台のワゴンが目の前に止まる。

あと僅かな命の父とは上手く行っていないし
息子は受験に失敗して家庭内暴力を振るうし
妻は家に帰ってこない。

人生の分かれ道は、自分が気が付かないところで出来ている。
あそこでこうしていれば良かったんだと、後々気がついてもしょうがない。
もし過去に戻って、それをやり直すことが出来たら・・・。
現在を変えることは出来なくても、気持ちでどれだけ変われるのか。

流星ワゴン
流星ワゴン
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 730
  • 発売日: 2005/02
  • 売上ランキング: 2434
  • おすすめ度 4.42

本★9/10
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2006年08月05日

「言いまつがい」糸井重里

ほぼ日刊イトイ新聞の、言いまつがいから出来た本。

つい間違えてしまう言い間違えと、覚え間違いしている言い間違え。
人のことだから笑えるけれど、自分だったら凄く恥ずかしい。
日本語って難しいから、一文字違っただけでも意味が全然変わってきてしまう。
そんな言葉が沢山載っていて、くすっと笑うなら良いけど、大笑いまでしてしまいます。
編集部からのお願いとして「不特定多数の人々が集まる場所、真剣さが必要な場所などでは読まないで下さい」との事(笑)
いや、ほんとにこれは気をつけた方が良いです。

全然関係ないけれど、朝日新聞の土曜日版「be」の「いわせてもらお」に似てるかな。
「ジャパネットたかた」を「タカネットじゃぱた」と間違えたり
「英子」さんが名前の説明を「英語のエイに子供のコ」と言ったら、「A子」と書かれたり・・・。
赤鼻のトナカイの歌、「暗い夜道は〜♪」を「暗いよ、道は〜♪」というのは、私も間違っていたんだということが分かりました。

言いまつがい
言いまつがい
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 540
  • 発売日: 2005/03/29
  • 売上ランキング: 37350
  • おすすめ度 4.5

本★7/10
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2006年08月02日

「東京タワー」江國香織

映画化されて、主役は黒木瞳と岡田准一。
うーん。
この二人だったら、私が男でも女でも恋に落ちてしまいそう(笑)

19歳の二人の男性が年上の女性に恋をする話。
二人とも正確が全然違い、恋をする相手も全然違う。
透は、母親の友人、詩史と一緒に生きていこうとする。
耕二は、他に恋人がいるのに喜美子と肉体関係が切れない。

東京タワーの見守ってくれる場所での出来事。
登場人物の気持ちがそれぞれに分かるので、切ない。
途中から出てくる、二人の同級生「吉田」が何ともいえません。
恋はするものじゃなく、おちるものだ

東京タワー
東京タワー
  • 発売元: マガジンハウス
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2001/12
  • 売上ランキング: 112314
  • おすすめ度 3.5

本★7/10
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2006年07月29日

「パーク・ライフ」吉田修一

第127回芥川賞受賞。
この著者の本は初めて読みました。

東京の日比谷公園が舞台。
特に何かがあるわけでも無い。
同じ時間同じ公園に公園に集まる人たちの日常と出会いが書かれている。

『東京の「今」を感じさせてくれる』と帯に書いてあっただけに、それは感じられました(笑)
ただ、私はどちらかと言うと表題作よりも、一緒に収録されている「flowers」の方が良かったかな。

収録されている作品
パーク・ライフ
flowers

パーク・ライフ
パーク・ライフ
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 410
  • 発売日: 2004/10
  • 売上ランキング: 16953
  • おすすめ度 3.0

本★6/10
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2006年07月25日

「イン・ザ・ミソスープ」村上龍

読売新聞連載中より大反響を引き起こした問題作で、読売文学賞受賞。

こういう話はキライです。
怖いし、気持ち悪い。
でも、途中で止められない面白さ(汗

外国人相手に風俗ガイドをしている20歳のケンジが、アメリカ人のフランクを3日間ガイドする事になる。
フランクは明らかにオカシイし、アヤシイ。
少し前に起きた、女子高生暴行殺害事件の犯人だと思える様な言動が、次々と気になってくる。

フランクのかなり長いセリフが、とにかく怖い。
殺人事件が淡々と行われているのも、とにかく怖い。
「こんなのヤダー」って思いながら、一気に読んでしまいました。

日本という国は、外国人から見るとかなり奇妙なんですね。
あぁ・・・怖かったな。

イン ザ・ミソスープ
イン ザ・ミソスープ
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 560
  • 発売日: 1998/08
  • 売上ランキング: 65038
  • おすすめ度 4.0

本★8/10
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2006年07月21日

「リトル・バイ・リトル」島本理生

この人の作品は初めて読みました。
なんと、高校生時に書いて芥川賞候補になったなんて。

綿矢りさ、金原ひとみにも言えるけれど、最近の若い子は・・・と、
ついついオバサン発言をしてしまう私がいます。
この本は、今時の部分と少し古風な部分も出てくるのが良いかな。

話の内容的には、何にも起こらない。
ごく普通の日常が淡々と書かれていて、ほんわかと感じてくるものが出てきます。
著者本人が「明るい小説にしたかった」と書いてあるだけあって、前向きな考え方に勇気がもらえます。

リトル・バイ・リトル
リトル・バイ・リトル
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 440
  • 発売日: 2006/01
  • 売上ランキング: 95296
  • おすすめ度 3.0

本★7/10
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2006年07月17日

「ビタミンF」重松清

直木賞受賞作。
ビタミンの中には「ビタミンF」なんて無いのだそう。
七つの短編集。
Family、Father、Friend、Fight、Fragile、Fortune
「F」で始まるさまざまな言葉を、個々の作品のキーワードとして埋め込んである。
この本は疲れた大人の心に効くビタミン剤なのだ。

重松作品は大人の為の道徳の教科書の様な気がします。
子供の道徳とは違い、どれが正しい、どれが正義、とかではなくて
間違っていても、曲がっていても、それぞれの生き方があるんだと教えてくれる。

「かさぶたまぶた」が一番心に残る。
曲がった事は許せない父「政彦」は、いつも心につっかえ棒を立てている。
そんな父を見て育つ二人の子供に、大切な事を教えてもらうのだ。
おとなは「キレる」わけにはいかない。おとなは「折れる」だ。

収録されている作品
ゲンコツ
はずれくじ
パンドラ
セッちゃん
なぎさホテルにて
かさぶたまぶた
母帰る
ビタミンF
ビタミンF
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 540
  • 発売日: 2003/06
  • 売上ランキング: 31299
  • おすすめ度 4.2

本★9/10
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2006年07月14日

「ガール」奥田英朗

<こんなお心あたりのある方に、よく効きます。>
●職場でナメられてる、と感じた
●親に結婚を急かされた
●若い後輩の肌つやに見とれた
●仕事で思わずたんかをきった
●ひとめぼれをした
●子どもの寝顔を見て、頑張ろうと思った
きっとみんな焦ってるし、人生の半分はブルーだよ。
既婚でも、独身でも、子供がいてもいなくても。

いやー、面白い。
女性には嬉しい本です。
「マドンナ」の女性版になるのかな?
女性の心理をココまで痛快に書いてくれて、しかも読み終われば元気が出ている。
女性の気持ちが分からないという男性にもオススメかも。

女だからってバカにされたり、
今流行の女性独身でマンションが欲しくなったり、
「若い女の子」からはずされたり、
仕事をしながら一人で子育てをしていたり、
ひと回り違う若い男の子が気になったり。

そうそう、そこが辛いとこなんだよな、って思うところを容赦なく書いてくれる。
読み進めていき、気が付くとこんなのも悪くないかな、なんて思えるようになる。

目次
ヒロくん
マンション
ガール
ワーキング・マザー
ひと回り

ガール
ガール
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2006/01/21
  • 売上ランキング: 22390
  • おすすめ度 4.5

本★8/10
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2006年07月10日

「ピンク・バス」角田光代

これは・・・「妊娠カレンダー」小川洋子を思い出してしまいました。
これも妊婦さんは読まないほうが良いかも(汗

サエコが妊娠して浮かれているところに旦那の姉が転がり込む。
変わっている義姉はピンクのバスが迎えに来るまで居ると言う。
義姉は妊娠を気持ち悪がり、サエコは義姉を邪魔に思う。

普通って何だろう。
何を思うのが普通で、どうやって生きていくのが普通なんだろう。

もう一つの作品「昨夜はたくさん夢を見た」は作者がもっとも気に入っている作品だそうです。

収録されている作品
ピンク・バス
昨夜はたくさん夢を見た

ピンク・バス
ピンク・バス
  • 発売元: 角川書店
  • 価格: ¥ 420
  • 発売日: 2004/06
  • 売上ランキング: 205516
  • おすすめ度 3.67

本★7/10
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2006年07月05日

「中国てなもんや商社」谷崎光

映画化されていたとは。
きっと面白いんだろうなー。
だって、原作がこんなに面白いんだから。

90年代前半の話。
腰掛けOLのつもりで入った商社が取り扱うのは中国からの輸入品。
主人公というか、著者は衣料を取り扱う。

その当時の中国は本当にひどいのだ。
首の入らないTシャツや開かない傘、手の入らないポケットなどを、胸を張って納品してくる。
納期が遅れたら、工場が竜巻で飛ばされたとか、日本からのオーダーが原因と言ったりとめちゃくちゃ。
こんなエピソードが満載で、今だから笑える話が盛り沢山。

買い手が上の日本と、売り手が上の中国。
働けば損と思っていたり、決して謝ろうとしなかったり・・・
価値観を同じにするのは無理な話だけれども、考え方が違いすぎるのだ。

今でこそ、巨大市場になっている中国だけれども、この頃はこんなにも酷過ぎる状況だったのかと、呆れるし笑える。

目次
第1章 恐怖の宴会乾杯バトル
第2章 工場が竜巻で飛ばされた!?
第3章 上司は華僑
第4章 訪問団来日で、てんやわんや
第5章 クレーム・オン・パレード
第6章 初めての中国出張
第7章 中国人と働くって
第8章 天安門事件
第9章 サバイバル中国出張
第10章 独立ラッシュ
最終章 まず、夢ね

中国てなもんや商社
中国てなもんや商社
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 550
  • 発売日: 1999/12
  • 売上ランキング: 59242
  • おすすめ度 4.62

本★8/10
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2006年07月01日

「キッドナップ・ツアー」角田光代

小学5年生の夏休み初日、ハルはお父さんにユウカイされる。
別れた妻への要求を突きつつ、ユウカイ犯と人質は冒険とも言える逃亡生活に入る。

結構情け無いお父さんなのだが、頑張ってハルに色んな事を教えようとしているのが、ちょっと可愛い。

「子供は親を選べない」というハルに
「ろくでもない大人になっても誰のせいでもなく、自分のせい」だと言う父親。

解説で重松清が、口に出した言葉と口に出せない言葉を書いている。
大体、実生活においては口に出さない言葉は、他人には伝わる事は少ないのだけれども
この本では(というか、全般的に本だったら)口に出さなくても文章になっているので、読み手には伝わる。
当たり前といえば当たり前だけれども、だからこそ誤解が生まれたり、相手の思うことを想像したりするのね。


キッドナップ・ツアー
キッドナップ・ツアー
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 420
  • 発売日: 2003/06
  • 売上ランキング: 31593
  • おすすめ度 4

本★6/10
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2006年06月27日

「町長選挙」奥田英朗

イン・ザ・プール」、「空中ブランコ」に続く伊良部シリーズ第3作目。

今回は、明らかに誰だか分かる実在のモデルが居て、その人を想像しながら読むのが面白かったです。
「東京グレート・パワーズのナベマン」「ライブファスト社長のアンポンマン」「アンチエイジングの白木カオルや川村こと美」。
これを読んでも誰だか分かっちゃいますけど(笑)
でも、こういう時事モノは賞味期限がありそうで、読むなら今なのかなとも。
「町長選挙」のモデルがイマイチ分かりませんでした。
これも実在する場所をモデルにしているのかな。

伊良部シリーズは、とにかく面白くてすぐに読めてしまう。
でも第3部作となって期待しすぎてしまったのか、前までの様な驚きが少なかったかも。
相変わらずハチャメチャだけど、伊良部のトンでもない感がイマイチ出ていなかった気がします。
それでもやっぱり次が出たら気になって読んじゃうだろうけど。

収録されている作品
オーナー
アンポンマン
カリスマ稼業
町長選挙

町長選挙
町長選挙
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,300
  • 発売日: 2006/04
  • 売上ランキング: 696

本★7/10
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2006年06月22日

「きよしこ」重松清

電車の中で読み始めて、プロローグ(?)でホロリと泣いてしまいました。
でも止める気にもなれずに、目に涙をためながら読んだ本です。
久しぶりに★10満点。

重松清が吃音(どもり)の子供のお母さんからの手紙を貰った話から始まります。

主人公「きよし」は吃音の持ち主。
親の仕事で転校を繰り返すのだが、自己紹介での「きよし」の「き」が上手く言えない。
何度も出会いと別れを繰り返しながら、「きよし」はオトナに近づいていく。

途中でも何度も何度も泣いてしまいました。
こんなに色々心に抱えた少年に対して、オトナや世間は全然分かっていない。
それでも少年の心がいつも優しい。

頭の中で思ったことはこんなに上手く言葉に出来るのに、言葉で言う事が出来ない。
言葉で表現出来ない事は、私でも良くある。
でも、それとは違うのだ。
一度の事ではなく、これからもずっと、なのかもしれない。
そんな不安もよぎるところだが、こんな言葉で救われる。

「それが本当に伝えたいことだったら、伝わるよ」

やられました。
あぁ・・・良く泣いたわ(笑)

収録されている作品
きよしこ
乗り換え案内
どんぐりのココロ
北風ぴゅう太
ゲルマ
交差点
東京

きよしこきよしこ
重松 清

新潮社 2005-06
売り上げランキング : 15401
おすすめ平均

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本★10/10
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2006年06月19日

「駆ける少年」鷺沢萠

第二十回泉鏡花文学賞受賞。
鷺沢萠は35歳で亡くなった(自殺)という事が非常に悔やまれます。

人が生きていく中で体験する、ふとした遣る瀬無さや悲しみを感じさせられました。
高速道路の下に広がる死に掛けてしまった様な町並みや、父と同じ様に会社が倒産しそうな時の心情や、父の事を愛して止まない愛人。
人の感情、その時の情景の書き方が、なんともいえない感じで伝わってくる文章が凄いと思う。
読み終えてもやもやとした気持ちがあるけれど、もう一度読みたい。
再度読まないと理解しきれないような気がします。

収録されている作品
銀河の町
駆ける少年
痩せた背中

駆ける少年駆ける少年
鷺沢 萠

文藝春秋 1995-05
売り上げランキング : 153,228
おすすめ平均

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本★7/10
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2006年06月17日

「体は全部知っている」吉本ばなな

凄く久しぶりに吉本ばななを読みました。
前に読んでいた時と印象が随分違う気がしたけれど、たぶん私の方が変わってきているからだろうな。

13話の短編全て、読み終った時に胸がじわわんとします。
ほんわかしたり、少し悲しかったり、色々だけど。
どうって事の無いような話なのに、なんでこんなに胸に残るのか不思議な感じ。
「花と嵐と」が良かったです。

収録されている作品
みどりのゆび / ボート / 西日 / 黒いあげは / 田所さん / 小さな魚 / ミイラ / 明るい夕方 / 本心 / 花と嵐と / おやじの味 / サウンド・オブ・サイレンス / いいかげん

体は全部知っている体は全部知っている
吉本 ばなな

文藝春秋 2002-12
売り上げランキング : 7049
おすすめ平均

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本★8/10
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2006年06月12日

「マエストロ」篠田節子

「変身」という題名だった作品を加筆・修正して「マエストロ」と改題。

主人公はヴァイオリニスト。
話の内容も結構リアル。
何がリアルかって、音楽界では当然とされている、ちょっとクロイ話。
なので、私はかなり面白かったです。

ヴァイオリンの値段は本当に分かり難い。
作者の名前が有名かどうかで天地ほどの差ができるのに
本物か偽物かは楽器鑑定の専門家で無いと分からない。
良い音が鳴るか、そうでないかで値段が決まるわけではないのだ。

先生へのお礼金も、普通の人には分かり難いかもしれないけれど
実際問題になっていることも多いし。

クラシック全般・ヴァイオリン・楽器製作部分にかなり興味を惹かれるし
恋愛や友情も関わってくる。

死体の転がらないミステリー。

マエストロマエストロ
篠田 節子

角川書店 2005-11-25
売り上げランキング : 47706

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本★8/10
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2006年06月10日

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」J.K.ローリング / 訳 松岡佑子

ハリーポッターシリーズ第6巻。
今回は上下巻セット売り。

あーあ。読み終わっちゃた。
これで最後の第7巻が出る頃には、結構忘れちゃってるんだろうなー。
今回も今までの話を思い出すのに苦労したのにな(汗

このシリーズは、一番初めの「ハリー・ポッターと賢者の石」の映画版がかなり原作に忠実だったのもあって、映像としてイメージしやすいです。
登場人物や主要場所なども映画のままのイメージで読み進めていけます。

ハリーが16歳になって、ロンもハーマイオニーもだいぶ大人になりました。
話もテンポの良い進み方で、どんどん読めます。
だけど・・・。
読み終わった後のこの気持ち、どうにかしてください(汗
私はしばらく何も考えられないほど衝撃的でした。
放心状態。

早く、早く次を。
最終章の第7巻を。

ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6)ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6)
J. K. ローリング J. K. Rowling 松岡 佑子

静山社 2006-05-17
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本★9/10
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2006年06月05日

「ファースト・プライオリティー」山本文緒

31話の短編集。
全ての話に31歳の女性が出てきます。
31人の31歳の話で、31通りの人生があると。
と、しつこくなりましたが、実際には1話に31歳が数人出てくることもあるので、それ以上になるけれども。

「ファースト・プライオリティー」という題名からして、何にこだわりを持っていくのか、何を最優先していくのか、そのとき大事な物は何なのか、というのは人それぞれだと言いたいのだろうな。

現在30歳の私の意見だけど、31歳という年齢にこだわったのは解る気がする。
それなりに社会に出て社会を知り、恋愛やら結婚やらもそれなりに経験した上で、今一度自分を振り返る歳だったり、自分について考える歳なのではないかな。
人生の分岐点とでも言えるのかも。

収録されている「三十一歳」という話の中で気になった言葉。
「三十出たくらいの女っていいじゃないか。そろそろ迷いが吹っ切れて、腹がくくれてて、でもやり直しもスタートも出来る歳だろ?」
うむ。なんだか勇気が湧いてきた(笑)
あと1年経って私も31歳になったら、もう一度この本を読んでみようかな。

収録されている作品
偏屈/車/夫婦/処女/嗜好品/社畜/うさぎ男/ゲーム/息子/薬/旅/バンド/庭/冒険/初恋/燗/ジンクス/禁欲/空/ボランティア/チャンネル権/手紙/安心/更年期/カラオケ/お城/当事者/ホスト/銭湯/三十一歳/小説

ファースト・プライオリティーファースト・プライオリティー
山本 文緒

角川書店 2005-06-25
売り上げランキング : 16,798
おすすめ平均

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本★7/10
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2006年05月31日

「だれかのいとしいひと」角田光代

恋愛話ばかりではないけれど、男女間のふとしたヒトコマの短編集。
角田光代の文章は凄く読みやすくて、気が付くとどんどん読み進めていってしまいます。
途中で「もうこんなに読んでしまったのか、勿体無いなー」という感じになるほど。

いくつかの短編の中でも「誕生日休暇」が一番良かったです。
休暇だけど出社するつもりだったのに、あれよあれよという間に海外に一人旅をすることになってしまう話。
小さな町で何も予定を立てないで誕生日を過ごすつもりだったのに、あまりにする事が無くて我慢できなくなったときに、一人の日本人と出会う。
何のためにこの旅があったのか。
ちゃんと理由があったんだ。

どの話も読み終わって、心がほんわかとなる。
「普通の人の話」なのに、普通では無いようにも思える書き方が上手いなぁ。

収録されている作品
転校生の会
ジミ、ひまわり、夏のギャング
バーベキュー日和(夏でもなく、秋でもなく)
だれかのいとしいひと
誕生日休暇
花畑
完璧なキス
海と凧

だれかのいとしいひとだれかのいとしいひと
角田 光代

文藝春秋 2004-05
売り上げランキング : 21,549
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本★9/10
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2006年05月27日

「マドンナ」奥田英朗

5話の短編集。
5話とも、一般企業の課長という肩書きを持った40代男性が主人公。
そんな課長さんが恋をしたり、息子に危惧したり、会社の慣習に不満を持ったり、上司のやり方についていけなかったり、見知らぬ老人に父を重ねたり。

一般企業の課長さんは、こんな感じなんだろうな。
男性が読むと、「そうそう、そうなんだよな」と共感すると思いますが
女性が読んでも「そうなのよー」って部分が多いはず。
女性の気持ちも奥田英朗は良く分かっているんだなぁ。

どの話も読み終わった時に、何ともいえない暖かい気持ちになります。
特に私は「パティオ」が良かったな。
凄く読みやすく、一気に読んでしまいました。

収録されている作品
マドンナ
ダンス
総務は女房
ボス
パティオ

マドンナマドンナ
奥田 英朗

講談社 2002-10
売り上げランキング : 133,264
おすすめ平均

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本★7/10
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