2008年09月13日

「舞姫通信」重松清

ラストシーンは、もう始まっているのかもしれない。人は、誰でも、気づかないうちに人生のラストシーンを始めている。17歳で死んだ「自殺志願」のタレント城真吾にとっては、16歳は晩年だった。城真吾は教えてくれた。人は死ねる。いつ。いつか。いつでも―。でも、僕は思う。僕の教え子の君たちの「いつか」が、ずっとずっと、遠い日でありますように。教師と、生徒と、生と死の物語。

学校で自殺をした舞姫がヒロインかのような「舞姫通信」が配られ、自殺志願のタレントを多くの若者たちは崇拝する。
死ぬ権利とはいったいなんだろう。
いつ死ぬか分からないのだったら、自分で自分のラストシーンを決めても良いのではないか。

テーマが重いのと、重松作品への慣れも出てきたのか、あまり入り込めなかったです。
まぁ、生と死というのは、重松清の本を読んでいる時点でほとんど関わってくる問題なんだし、元気のあるときじゃないと読みきれませんが。

舞姫通信 (新潮文庫)
舞姫通信 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 580
  • 発売日: 1999/03
  • 売上ランキング: 217782
  • おすすめ度 4.0

★6/10
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2008年09月07日

「ドラママチ」角田光代

妊娠、恋愛、プロポーズ…女はいつも何かを待っている。中央線沿線の「マチ」を舞台に、小さな変化を「待つ」ヒロインたちの8つの物語。

角田光代さんは本当に女性の気持ちを文章にするのが上手いと思う。
女性のほとんどが「ああー、そうそう、そうなんだよね」という感想を持つんだろうな。
それも女性の気持ちのメインな部分ではなくて、細かい部分だというのが、また良い。
今が取り立てて不幸と言うわけではなく、一般的に幸せという部類に入れられるだろう自分の人生だけれども、やっぱり今よりは幸せになりたい。
そんな女性達の日常的な話。

ドラママチ
ドラママチ
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,350
  • 発売日: 2006/06
  • 売上ランキング: 155152
  • おすすめ度 4.0

★7/10
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2008年08月29日

「ななつのこ」 加納朋子

第3回鮎川哲也賞受賞。

短大生の入江駒子は『ななつのこ』という本に出逢い、ファンレターを書こうと思い立つ。身辺を騒がせた〈スイカジュース事件〉をまじえて長い手紙を綴ったところ、事件の“解決編”ともいうべき返事が舞い込んだ! こうして始まった駒子と作家のやりとりが鮮やかにミステリを描き出す、フレッシュな連作長編。

主人公の駒子が出会う『ななつのこ』という本が駒子が出会う日常のミステリーにピッタリとはまって進んでいく。
こんな些細な日常のナゾな出来事も、『ななつのこ』の著者「佐伯綾乃」にかかると、みごとに解決されるのだ。
連作短編という形だけれども、全てがそれぞれで完結していて、なおかつ繋がっている。

面白かったです!
加納朋子さんは初めて読みます。
私はミステリーがあまり得意ではないけれど、凄く楽しめました。
でもこの本は「ミステリー」というジャンルで想像してしまうと、全く違う気がします。
日常の些細なナゾ自体も、登場人物の個性も温かくて、とてもステキな世界です。
次を読むのが楽しみになるし、全部読み終わった後でも楽しめる本だと思います。

ななつのこ (創元推理文庫)
ななつのこ (創元推理文庫)
  • 発売元: 東京創元社
  • 価格: ¥ 546
  • 発売日: 1999/08
  • 売上ランキング: 58850
  • おすすめ度 4.5

★10/10
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2008年08月24日

「風に舞いあがるビニールシート」森絵都

表題作で第135回直木賞受賞。
6つの短編集。

森絵都というと児童文学のイメージで、今まで読んだ「アーモンド入りチョコレートのワルツ」「永遠の出口」「DIVE!!」「つきのふね」のどれもが当てはまっていました。
本書は児童文学ではなく、大人の為の短編集。
どの短編も素晴しく、内容が濃い。
そんな充実した短編が1冊にまとめられていて、凄く贅沢な感じがします。
今までの児童文学とは対照的に、本書全ての話が「大人の事情」に左右されて進んで行きます。
そして、がむしゃらに生きる人々にそれぞれ障害が起きるのですが、読了後には前向きに生きていく勇気が心を温めてくれます。
大好きな1冊。オススメです。

目次
器を探して / 犬の散歩 / 守護神 / 鐘の音
ジェネレーションX / 風に舞いあがるビニールシート

風に舞いあがるビニールシート
風に舞いあがるビニールシート
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2006/05
  • 売上ランキング: 4314
  • おすすめ度 4.0

★10/10
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2008年08月20日

「1リットルの涙―難病と闘い続ける少女亜也の日記」木藤亜也

ドラマ化、映画化されています。

「脊髄小脳変性症」という難病は初めて知りました。
ゆっくりとゆっくりと病状は悪化していき、今の医学では良くなることはない。
14歳の中学生が背負うにはあまりにも辛い難病。
これからの未来を胸にときめかせ、どんどん大人に成長する年頃の女の子が、病気に立ち向かう姿は涙無くては読めません。
この本を読むと、今の自分が恥ずかしい。
健康って幸せなことなんだ。
今を健康に生きていられることに感謝をして、一日を大切にしなくては。

1リットルの涙―難病と闘い続ける少女亜也の日記 (幻冬舎文庫)
1リットルの涙―難病と闘い続ける少女亜也の日記 (幻冬舎文庫)
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 560
  • 発売日: 2005/02
  • 売上ランキング: 1980
  • おすすめ度 4.5

★8/10
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2008年08月15日

「幸福な食卓」瀬尾まいこ

父さんが自殺を失敗したときも、母さんが家を出たときも、朝は普通にやってきた。そして、その悲しい出来事のあとも…。泣きたくなるのはなぜだろう?優しすぎるストーリー。

「父さんは今日で父さんをやめようと思う」
こんなひと言から話が始まる。
母さんは離婚するわけではないのに、別居中。
天才の兄は真剣に考えることをやめてしまっている。
へんてこな家族。それでも、家族なんだ。

瀬尾まいこは文章が暖かくて好きです。
ラストがイマイチなのが残念。

目次
幸福な朝食 / バイブル
救世主 / プレゼントの効用
幸福な食卓
幸福な食卓
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2004/11/20
  • 売上ランキング: 82456
  • おすすめ度 4.0

★8/10
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2008年08月08日

「真昼の花」角田光代

角田さんの本は今までに数冊読んできました。
角田さんの文章に慣れてしまったのもあるし、似ている内容だったり設定だったりで、同じ様な感想になってしまいます。
この本も今まで読んだ中に似ている内容もあったし、感想もそう違わない感じがします。
まぁ、読むときの気分次第で左右されますけど。
それでも不思議、少し経つとなぜか読みたくなってしまう角田光代。

行方不明の兄を追うようにしてアジアの国へ来た私。闇両替で所持金のほとんどを失い、一日パン一個で食いつなぎ、安宿をシェアして、とうとう日本企業の前で物乞いを…。帰る気もなく、行くあてもなく、いったい今ここで何をしているのか。それでも、私はまだ帰らない、帰りたくない―。若いバックパッカーの癒しえない孤独を描く表題作他一篇を収録

表題作と「地上八階の海」が収録されていて、私は「地上八階の海」の方が良かったかな。
どちらもやるせない気持ちになるのは変わりないのだけれど。

真昼の花 (新潮文庫)
真昼の花 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 420
  • 発売日: 2004/08
  • 売上ランキング: 309353
  • おすすめ度 4.0

★6/10
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2008年08月04日

「ブラックペアン1988」海堂尊

「チーム・バチスタの栄光」シリーズではないけれど、いつものように舞台は同じ桜宮市にある東城大学医学部付属病院だし、登場人物もかぶってきます。
なんと病院長の高階が東城医大に赴任してきた時代を書いていて、田口先生や速水先生をはじめ、藤原、猫田、花房看護婦などいつものメンバーも若くなって出てきます。

実際の医者である筆者が書いているくらいなのだから、沢山出てくる裏事情のようなものも本当なんだろうな。
様々な立場からの色々な思惑があり、それとは無関係な患者が居る。
奮闘する1年目新人医師の世良の視点で、医学に対する情熱や試行錯誤している姿などが面白いです。
ただ、医療器具が色々出てくるのに、それが何だか良く分からなかったのが残念です。

ブラックペアン1988
ブラックペアン1988
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2007/09/21
  • 売上ランキング: 1451
  • おすすめ度 4.5

★7/10
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2008年08月02日

「フライ、ダディ、フライ」金城一紀

映画化されています。

いたって平凡な人生を歩んできた47歳のサラリーマン、鈴木一。妻と娘を大切に思い、築き上げてきた日常は、とある日、あっけなく崩壊した。その失意のさなかに、鈴木は奇妙な高校生のグループと知り合う。

「レヴォリューションNo.3」の登場人物が出ている、というのは読了後に知りました。
まだ読まずに、こちらを先に読んでしまったみたい。
まぁ、話は全然関係ないようなので良いですが、なんとなく失敗したなという気がします。
それでも、スピード感もあり一気に読みました。
あっという間に読み終わってしまったくらい。
47歳のお父さんが、娘の敵を討つために頑張る話で、内容が面白いという感じではありませんでした。
それなのに、こんなにのめりこむのはなんだろう。
金城一紀は文章が面白い。
そして、カッコイイ。
それも大事なことだなと感じます。

フライ,ダディ,フライ
フライ,ダディ,フライ
  • 発売元: 講談社
  • 発売日: 2003/02
  • 売上ランキング: 89857
  • おすすめ度 4.0

★7/10
再読後★9/10に変更
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2008年07月28日

「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」北尾トロ

ワイドショーも小説もぶっとぶほどリアルで面白いのがナマの裁判だ。しかもタダで誰でも傍聴できる。殺人、DV、詐欺、強姦…。突っ込みどころ満載の弁明や、外見からは想像できない性癖、傍聴席の女子高生にハッスルする裁判官。「こいつ、絶対やってるよ!」と心の中で叫びつつ足繁く通った傑作裁判傍聴記。

題名に惹かれて買いました。「どうすか」って・・・(笑)
知識がない状態から、傍聴の常連になっていく著者なので、文章がわかりやすい。
専門用語などもほとんどないし、後日談や説明もある。

「わいせつ」や「離婚」や「有名人」など、一般的にも興味をそそられるものに著者も気を惹かれて傍聴している姿が、身近に感じます。
ただ、罪を犯した人と被害者、それぞれの人生がかかっている大事な場所だし、あんまり面白おかしく受け止めてしまうのは不謹慎だと思いますが。
裁判員制度が始まる前に読んでみるのは良いかも。

裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)
裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 660
  • 発売日: 2006/07
  • 売上ランキング: 37652
  • おすすめ度 3.5

★5/10
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2008年07月25日

「明日の記憶」荻原浩

2005年本屋大賞2位。
映画化されています。
「明日の記憶」公式サイト

知っているはずの言葉がとっさに出てこない。物忘れ、頭痛、不眠、目眩――告げられた病名は若年性アルツハイマー。どんなにメモでポケットを膨らませても確実に失われていく記憶。そして悲しくもほのかな光が見える感動の結末。
上質のユーモア感覚を持つ著者が、シリアスなテーマに挑んだ最高傑作。

荻原浩の本だから、こんなシリアスなテーマでもどこか笑わせられるのかと思っていたら、徹底して真面目な文章だったのに驚いたのが第一の感想だなんて、この本を絶賛している方には怒られるかもしれない。
そして、若年性アルツハイマーというテーマから思い出すのは、数年前に韓国映画で話題になった『私の頭の中の消しゴム』で、自然にそれと比較してしまいました。
更に、物事を忘れないようにメモをして、そのメモ用紙をポケットに一杯入れるところは「博士の愛した数式」のジャケットにぶら下げるメモなども思い出してしまいました。
まぁ、私も物忘れが激しいので、よくメモして持ち歩いているくらいなので、比べたり思い出したりするのもおかしいのかもしれませんが。

広告代理店の営業部長でバリバリ仕事をしている50歳の主人公は、物忘れの多さに辟易していたが、それが若年性アルツハイマーの初期だった・・・という状況で、自分にもありえるのではないかと思うと怖くなってきます。
日に日に病状が悪化していく様子は読んでいて辛いけれど、家族の支えがとても良いです。
ラストシーンは涙。切ないです。
一気に読んでしまいました。

明日の記憶
明日の記憶
  • 発売元: 光文社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2004/10/20
  • 売上ランキング: 96642
  • おすすめ度 4.5

★8/10
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2008年07月18日

「銀輪の覇者」斎藤純

「このミステリーがすごい!2005年版」第5位。

戦前が舞台の自転車レースで、本州縦断という過酷なコース。
レース用ではない重い自転車、改造等はすべて禁止、参加費も高額。
それでも賞金欲しさに沢山に人が参加する。

「このミス」第5位というのを忘れてしまうほど、スポーツを題材にしたさわやかな小説で、後半まではどこがミステリーなのか?と思ってしまいます。
自転車ロードレースという競技が、オリンピックによってプロとアマチュアの対立が始まり、不安定で強引な状況で行われたレースの中、レース関係者の様々な思惑が関係してきます。
何のために、この過酷なレースを走るのか・・・。
登場人物の個性も好感が持て、レースの運びも面白く、さくさく読めました。

銀輪の覇者 上 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1) (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1)
銀輪の覇者 上 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1) (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1)
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 798
  • 発売日: 2007/08/25
  • 売上ランキング: 21795
  • おすすめ度 4.5

銀輪の覇者 下 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2) (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2)
銀輪の覇者 下 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2) (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2)
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 798
  • 発売日: 2007/08/25
  • 売上ランキング: 33210
  • おすすめ度 4.0

★8/10
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2008年07月14日

「天使の代理人」山田宗樹

生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。過去、数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・桐山冬子はある日、無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔を見た。その時から罪の償いのために半生を捧げる決意をした彼女は、声高に語られることのない“生”を守る挑戦を始める―。胎児の命、そして中絶の意味を問う衝撃作。

重いテーマです。
胎児は人間として扱われない事実。
生々しい描写もあり、読んでいて辛くなりましたが、人工中絶について自分が無知だったことに驚きました。
中絶を止めさせようと動き出す「天使の代理人」の行動は少し無理があるけれど、この行動によって中絶を止め、子供を産んで幸せに生きていく家族が増えていく。
親の都合は人それぞれで、一概には絶対反対と言えないけれど、頑張れば産めるのに中絶してしまう人が事実として多いのも悲しいこと。
妊娠、精子バンク、人工授精、医療ミスによる中絶、人工中絶、流産。
命の大切さを噛締めた一冊。

天使の代理人〈上〉 (幻冬舎文庫)
天使の代理人〈上〉 (幻冬舎文庫)
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 600
  • 発売日: 2006/04
  • 売上ランキング: 260477
  • おすすめ度 4.5

天使の代理人〈下〉 (幻冬舎文庫)
天使の代理人〈下〉 (幻冬舎文庫)
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 600
  • 発売日: 2006/04
  • 売上ランキング: 256932

★7/10
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2008年07月10日

「余白の愛」小川洋子

久しぶりに満点の★10/10を付けました。
小川洋子の文章を満喫した気分です。

耳を病んだ主人公わたしは、速記者Yと出会う。
突発性難聴で耳鳴りがして病院に通い続け、やたらに苦い水薬を飲み続けるが、なかなか治らない。
Yの速記をしている指が、なんともわたしにとって必要な存在になっていく。
そんな中、昔の思い出のヴァイオリンを弾く13歳の少年を思い出す。

改めて、耳と心は深く結びついているのだなと思いました。
主人公のわたしがひどく傷つく出来事があり、知らないうちに記憶に迷い込んでしまう不安定な状態を、速記者Yと甥のヒロが助けています。
小川洋子の丁寧な文章が非常に心地良いです。
速記したメモの保管場所のくだりは「薬指の標本」に似ていて、なんだかひどく重要な何かを伝えようとしている気がします。
現実と幻想が入り混じってしまわないように、大事に大事に保管する、大切な場所。
とてもきれいな世界ですが、とても静かで、切ないです。

余白の愛 (中公文庫)
余白の愛 (中公文庫)
  • 発売元: 中央公論新社
  • 価格: ¥ 620
  • 発売日: 2004/06
  • 売上ランキング: 52536
  • おすすめ度 4.5

★10/10
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2008年07月03日

「極め道-爆裂エッセイ」三浦しをん

三浦しをんのエッセイだったら、絶対面白いに決まっている!
だって「しをんのしおり」だって「人生激場」だって大爆笑だったもの。
って、期待しすぎていたのかもしれません。
それでも面白かったのは間違いないですけど。

極め道―爆裂エッセイ (光文社文庫 み 24-1)
極め道―爆裂エッセイ (光文社文庫 み 24-1)
  • 発売元: 光文社
  • 価格: ¥ 520
  • 発売日: 2007/06
  • 売上ランキング: 69570
  • おすすめ度 4.0

★7/10

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2008年06月28日

「午前三時のルースター」垣根涼介

デビュー作で第17回サントリーミステリー大賞・読者賞受賞。

旅行代理店に勤務する長瀬は、得意先の中西社長に孫の慎一郎のベトナム行きに付き添ってほしいという依頼を受ける。慎一郎の本当の目的は、家族に内緒で、失踪した父親の消息を尋ねることだった。現地の娼婦・メイや運転手・ビエンと共に父親を探す一行を何者かが妨害する…最後に辿りついた切ない真実とは。

ワイルド・ソウル」が★10/10で最高に面白かったので、本書を読むのが楽しみでした。
うん、ワイルド・ソウルには負けるけど、面白かったです。
作者が旅行代理店に勤めている時に書いたというのがなんとなく納得。
ベトナムには行ったことがありませんが、本書を読んで行ってみたくなりました。
登場人物の活躍にはドキドキさせられたし、ストーリーも面白かったです。

午前三時のルースター (文春文庫)
午前三時のルースター (文春文庫)
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 620
  • 発売日: 2003/06
  • 売上ランキング: 37239
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★8/10
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2008年06月21日

「卵の緒」瀬尾まいこ

第7回坊っちゃん文学大賞受賞。

主人公の育生は自分が捨て子だと思っている。
聞いてみても冗談にしてくれないし、母さんにへその緒を見せてといったら、ごそごそ出してきた箱の中には卵の殻が入っていた。
そんなばかな話があるのか?と思うが、なんともあっけらかんとしている母親の態度が気持ちが良い。こんな家庭環境だったらグレてしまいそうだけど、この母親だったらこの調子で良い子に育てるのだろうな。育生もとても良い子だからっていうのもあるけれど。
家族であるっていうことは、血のつながりとか関係ないのだ。

「誰よりもあなたが好き。それはそれはすごい勢いで、あなたを愛してるの。今までもこれからもずっと変わらずによ。ねぇ。他に何がいる?それで十分でしょ」

表題作のほかに「7's Blood」も収録。
こちらも凄い設定で、父親の愛人の子と一緒に住むところからはじまる。

新しい家族のカタチ。
とっても気持ちが良い読了感。
面白かったです。

卵の緒
卵の緒
  • 発売元: マガジンハウス
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2002/11
  • 売上ランキング: 25546
  • おすすめ度 4.5

★9/10
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2008年06月11日

「ボクの町」乃南アサ

今どきの若者が彼女に振られて、見返してやろうというなんとも軽い動機で志望してしまった警察官という職業。
見習い期間ではあるが、警察手帳にプリクラ貼って怒られ、身勝手な地域の住民にキレては怒られる、休日にはピアスは欠かせないし昔はよくナンパしていた警視庁巡査見習い・高木聖大23歳。
聖大にとっては我慢の連続な仕事で、もう辞めようかなと思っている矢先、同期の優等生三浦が犯人追跡中に大ケガを負ったことで俄然、職務に目覚める。

主人公の聖大も私も、警察官が大変なのは知っているけれど、具体的には分かっていません。町の駆け込み寺のような交番にはいろんな人が来るし、町にはいろんな犯罪も起こる。町民が安心で安全な暮らしが送れるように、トラブルを未然に防ぎ、解決しなければならない。
こんなことやってられない!とキレる聖大の気持ちも分からなくはない(笑)
「この町を好きになれ」という先輩の言葉を疑問に思いながら、必死に毎日を過ごす聖大が少しずつ成長していく姿が面白く書かれています。
文章も読みやすく、あっという間に読んでしまいました。

ボクの町 (新潮文庫)
ボクの町 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 740
  • 発売日: 2001/11
  • 売上ランキング: 21072
  • おすすめ度 4.0

★7/10
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2008年06月08日

「白戸修の事件簿」大倉崇裕

第20回小説推理新人賞受賞「ツール&ストール」を含む連作短編集。

どこにでもいる善良な大学生・白戸修にとって東京の中野は鬼門である。
スリ、万引、ストーカー、銀行強盗など、次々と事件に巻き込まれる。

かるーく読めました。
よくもまぁ、こんなに事件に巻き込まれるなぁ・・・と、設定は少し強引ですが(笑)鬼門である中野で事件が起こります。
自分で鬼門だと思いながらそこに居てしまうのも、つっこんでいたら話が始まりませんので。
ひょんな事から事件を解決してしまうのが面白いです。
お人好しな白戸修のキャラが良いですね。

白戸修の事件簿 (双葉文庫)
白戸修の事件簿 (双葉文庫)
  • 発売元: 双葉社
  • 価格: ¥ 680
  • 発売日: 2005/06
  • 売上ランキング: 162847
  • おすすめ度 4.0

★7/10
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2008年05月31日

「おまけのこ」畠中恵

しゃばけ」「ぬしさまへ」「ねこのばば」に続く「しゃばけシリーズ」第4弾。
あぁ、やっと読めて嬉しい!

こういう連作モノは、登場人物に対しての愛着がわいている状態で読み始めるから、楽しくて仕方がありません(笑)
体の弱い寝込みっぱなしの若だんなや、若だんなを可愛がり過ぎの仁吉と佐助や、一向に腕の上がらない和菓子職人の栄吉や、沢山の妖たち。
いつも通りでほっとさせてくれます。

親友の栄吉と大喧嘩する「こわい」
屏風のぞきの人生相談「畳紙」
一太郎の子供の頃の話の「動く影」
若だんなが吉原の娘と駆け落ちかと思いきや・・・の「ありんすこく」
鳴家が大活躍する「おまけのこ」
全5編。
あー、面白かった♪次!次!

おまけのこ (新潮文庫)
おまけのこ (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 500
  • 発売日: 2007/11
  • 売上ランキング: 57262
  • おすすめ度 4.0

★9/10
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